太平洋のただなかに浮かぶ辺境の孤島 青ヶ島をツーリング
青ヶ島とは、東京の南360km、伊豆諸島の有人島としては最南端に位置する島である。
人口は約160人と、東京にあって日本一人口の少ない村であり、
島全体が土地公簿で地番のついていない「無番地」と呼ばれるレアな土地となっている。
また、アクセスの困難さもあり、辺境の中の辺境の離島といえる。
しかし、そこには他では見ることのできない壮大な風景、美しい海、独自の文化があり、
人生を終えるまでには一度訪れておきたい、そんな場所である。
普通に訪れるだけでも結構大変な島であるが、
今回は、そこに愛車(NC750x、大型バイク)を持ち込み、ツーリングしてみた。
バイクに跨り駆け巡った青ヶ島の貴重な魅力について紹介しよう。

Contents
- 青ヶ島へのアクセス
- 青ヶ島にバイクを運ぼう
- 青ヶ島村キャンプの注意点
- 断崖の巨大要塞 三宝港
- 島の中心に聳えるババロア 内輪山の丸山
- のどかに牛が寝そべる草原 ジョウマン
- 池の沢噴気孔群「ひんぎゃ」でお昼ご飯
1.青ヶ島へのアクセス
島に渡るアクセス・ルートは八丈島から出ている「ヘリコプター(空)」と「貨客船(海)」とあるが、どちらも1日1便。
※ただし、貨客船は日曜定休日
ヘリコプターは20分ほどで青ヶ島に到着するが料金が高い。
また、定員が9名と少なく、島民もよく利用することから予約が取れないことが多い。
貨客船「あおがしま丸」は、島まで3時間かかるが料金は安く、満員になることもないが、欠航率が高い。
どのルートでアクセスするにせよ、本土から青ヶ島に渡るならば、
最低でも1週間は旅の期間を確保しておいた方がよいだろう。
尚、冬季は時化、夏季は台風で欠航が多く、
また、梅雨時期は島全体が霧に包まれて景色や星空を楽しむことができない。
青ヶ島を訪れるなら春と秋がおススメだ。
2.青ヶ島にバイクを運ぼう
青ヶ島を大型バイクでツーリングしたことを話すと、
必ずといっていいほど「青ヶ島にバイクを運べるのか?」と聞かれる。
運べる、普通に。
実は、青ヶ島にバイクを運ぶのはそれほど難しいことではない。

伊豆諸島開発のホームページの車両関係運賃に「自転車」「バイク 50cc」しか掲載されていないので、航送できないと思っている人が多いかもしれないが、大型バイクでも貨客船「あおがしま丸」に積んで運ぶことができる。
ただし、大型バイクを航送する上で気をつけなければならないことがある。
① 大型バイクが入るサイズのコンテナ
② バイクを乗せる台
③ 台にバイクを乗せたり、降ろしたりするためのスロープ
この3つが揃っていないと、バイクを航送することはできない。
出港日の当日にバイクの航送を依頼しても、これらが無くて運べないことがあるので、
数日前には、東海汽船(伊豆諸島開発)に相談しておく必要がある。
また、バイクを乗降するためのスロープは青ヶ島には置いていないため、
八丈島の貨物所にあるスロープを、バイクと一緒に運んでくれるよう頼む必要がある。
因みにバイク(750cc)の航送料金は¥11990。※2018年5月時点
3.青ヶ島村キャンプの注意点
島にはキャンプ場がある。
場所はカルデラ内の池之沢地区、丸山(内輪山)の中腹であり、
すぐ隣に「サウナ」や「ひんぎゃ」もあって、とても素晴らしいキャンプ・ロケーションといえる。
しかし、
・飲料水がない(飲料水のある集落までは徒歩1時間)
・食料を買える商店のある集落まで徒歩1時間
・キャンプ場宿泊者はレンタカーを借りられない
という制約があるので注意が必要だ。
また、青ヶ島でキャンプの醍醐味といったらカルデラ内から眺める満天の星空だが、
月が出ていると、月の明かりで天の川どころか星もあまり見えなくなってしまうことも要注意。
渡島前に「新月の時期」や「月の入りの時間」を確認しておこう。
4.断崖の巨大要塞 三宝港
三宝港は、島の南西、断崖下の海岸に位置する青ヶ島で唯一の港である。
外周が外輪山の断崖となっている青ヶ島に湾は無く、狭い海岸に無理やりテトラポッドやコンクリート塊で建てられた三宝港は、一見要塞のようだ。

防波堤もなく外洋に突き出た桟橋は、少し海が荒れただけで船が接岸できなくなってしまう。
貨客船「あおがしま丸」は北側(右側)の新堤の桟橋に接岸し、南側(左側)の旧堤には漁船が入る。

桟橋が短く、防波堤もない三宝港では船を係留することができない。
そのため、漁船は巨大クレーンで吊りあげ、陸上の船置き場に陸揚げされる。

因みに、クレーン作動中に流れるメロディがカワイイ。
5.島の中心に聳えるババロア 内輪山の丸山
青ヶ島で有名な観光地といったら、やはり二重カルデラの内輪山「丸山」だろう。
縦縞のババロア模様は、低木である椿が植林されてできたもので天然ではない。
この縦縞を眺める一番の展望ポイントは、
カルデラ内から集落へ向かう途中の流し坂前の道路だ。巨大なババロアが眼前に聳え立つ。

外輪山とババロア(内輪山)を一目に眺望するポイントは「尾山展望公園」、そして島の最高峰「大凸部」だろう。
世界でも珍しい二重カルデラの火山島の全貌を一望、そして見渡す限りの水平線。
眼前に秘境の大絶景が広がる。

6.のどかに牛が寝そべる草原 ジョウマン
意外にも、青ヶ島の北部にはジョウマンと呼ばれる草原原があり牛が放牧されている。
ジョウマンを一望するこの好展望ポイントは、ヘリポートの先にある金毘羅神社の裏手にある。
天気の良い日には、真っ青な海の向こうに八丈島や八丈小島が見えるだろう。

「牛とかんも(サツマイモ)と神々の島」と呼ばれる青ヶ島で寝そべる牛。

7.池の沢噴気孔群「ひんぎゃ」でお昼ご飯
「ひんぎゃ(火の際)」とは、島内に点在する水蒸気の噴出する穴のことである。
内輪山「丸山」の中腹、山の地肌が露出したところに、
この「ひんぎゃ」を利用した製塩所、サウナ、地熱釜がある。

ひんぎゃの地熱釜で蒸して食べる弁当(というか食材)を「ひんぎゃ弁当」という。
お弁当の具(というか食材)は卵、ジャガイモ、ソーセージ等々、何でもいける。
宿にお願いすれば、昼食はこの「ひんぎゃ弁当」となる。

「くさや」もひんぎゃで調理をする。
青ヶ島の「くさや」はムロアジで、臭いもそれほど臭くはない。

兎に角、何もかもが他では見られない不思議な離島「青ヶ島」。
時間は必要だが、是非、この辺境の中の辺境の離島を訪れ、そのすべてを堪能してほしい。
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