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コンクリートと石灰岩の超構造体 南北大東島の海港


南大東島・北大東島は沖縄本島の東方360km、鹿児島の南方580kmに位置する絶海の孤島である。

水深4000mもの深海より海上に頭を出したサンゴ礁の島であり、
島の全周が断崖絶壁、浅瀬がなく水深が急に深くなるため、防波堤を作ることができず
船を着岸させることことができない島である。

そのため、貨客船「だいとう」で渡島する場合は、
荷物だけでなく人もクレーンに吊られて上陸することとなる。

南北大東島は、珍しくて美しい自然の宝庫であるが、
今回は敢えて人が造りだした構造体、巨大な海港を紹介する。
2016_0330_b_北大東島_西港a



1.南北大東島の玄関口 西港

西港は、その名と通り島の西岸にある港であり、集落に最も近く南北大東島の玄関口となっている。

クレーンで吊られたゴンドラに乗って上陸する離島は、
無数の島がひしめく日本でも、南北大東島くらいだろう。

因みに航空機で島に来た観光客も、入港時刻に港に行けば、
予約が無くてもゴンドラ乗船の体験ができる
2016_0329_1_南大東島_西港5

南大東島の入港時刻は早朝。朝日を浴びながらクレーンに吊られて上陸する。
2016_0329_1_南大東島_西港6


何段にも掘り下げられて作られた南大東島の西港。
一見、何の変哲もない港に見えるかもしれないが、
桟橋も防波堤も無くアンカーも下ろせない、大海原に面した港なんてそうあるものではない。
2016_0329_1_南大東島_西港8

こっちは北大東の西港。
2016_0330_b_北大東島_西港4



2.備えあれば三港

外洋に直接面した南北大東島の港は、天候に大きく影響を受けるため、
両島には北・西・南(亀池港、江崎港)の3つの港があり、
風と波の状態によって入港する港が変わる。

そう、当日になるまでどの港に入港するかは分からないのだ。

港の造りは何処も同じ。
石灰岩を掘り下げコンクリートでならした港だが、その規模の大きさに圧倒される。
2016_0329_f_北港2

南大東島の北港から眺める深く澄んだ海。水平線には北大東島が浮かぶ。
南北間の8kmほどしかない海峡の水深は1500~2000mに達するというから驚きだ。
2016_0329_f_北港3



3.孤島のメガ・ストラクチャー 南大東漁港

大東諸島の周辺の海は、絶好の漁場である。

しかし、この島では人や荷物だけでなく漁船もクレーンで吊って陸に引き揚げる必要があるため、
大きな漁船は扱えず、海の幸に囲まれている割りには島の料理には海の幸は多くない。

そこで現在、岩盤を東京ドーム2杯分も掘り抜き、接岸・停泊が可能巨大な漁港が作られている。
30年もの年月をかけて造られた南大東漁港。完成には、もう30年も掛かる予定だそうだ。

因みに港湾は「国土交通省」所管で、漁港は「農林水産省」所管であるため、
この巨大な漁港にフェリーは停泊できないそうだ。正に縦割り行政の弊害。
フェリーも漁船も入港できるでっかい港を作ればいいのに・・・
2016_0329_g_南大東漁港2

尚、北大東島にも巨大な漁港「南大東漁港(北大東地区)」が工事中だ。
北大東島にあるのに南大東漁港・・・南大東の分港ということらしいがややこしい
2016_0331_6_漁港3


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