コンクリートと石灰岩の超構造体 南北大東島の海港
南大東島・北大東島は沖縄本島の東方360km、鹿児島の南方580kmに位置する絶海の孤島である。
水深4000mもの深海より海上に頭を出したサンゴ礁の島であり、
島の全周が断崖絶壁、浅瀬がなく水深が急に深くなるため、防波堤を作ることができず
船を着岸させることことができない島である。
そのため、貨客船「だいとう」で渡島する場合は、
荷物だけでなく人もクレーンに吊られて上陸することとなる。
南北大東島は、珍しくて美しい自然の宝庫であるが、
今回は敢えて人が造りだした構造体、巨大な海港を紹介する。

1.南北大東島の玄関口 西港
西港は、その名と通り島の西岸にある港であり、集落に最も近く南北大東島の玄関口となっている。
クレーンで吊られたゴンドラに乗って上陸する離島は、
無数の島がひしめく日本でも、南北大東島くらいだろう。
因みに航空機で島に来た観光客も、入港時刻に港に行けば、
予約が無くてもゴンドラ乗船の体験ができる。

南大東島の入港時刻は早朝。朝日を浴びながらクレーンに吊られて上陸する。

何段にも掘り下げられて作られた南大東島の西港。
一見、何の変哲もない港に見えるかもしれないが、
桟橋も防波堤も無くアンカーも下ろせない、大海原に面した港なんてそうあるものではない。

こっちは北大東の西港。

2.備えあれば三港
外洋に直接面した南北大東島の港は、天候に大きく影響を受けるため、
両島には北・西・南(亀池港、江崎港)の3つの港があり、
風と波の状態によって入港する港が変わる。
そう、当日になるまでどの港に入港するかは分からないのだ。
港の造りは何処も同じ。
石灰岩を掘り下げコンクリートでならした港だが、その規模の大きさに圧倒される。

南大東島の北港から眺める深く澄んだ海。水平線には北大東島が浮かぶ。
南北間の8kmほどしかない海峡の水深は1500~2000mに達するというから驚きだ。

3.孤島のメガ・ストラクチャー 南大東漁港
大東諸島の周辺の海は、絶好の漁場である。
しかし、この島では人や荷物だけでなく漁船もクレーンで吊って陸に引き揚げる必要があるため、
大きな漁船は扱えず、海の幸に囲まれている割りには島の料理には海の幸は多くない。
そこで現在、岩盤を東京ドーム2杯分も掘り抜き、接岸・停泊が可能巨大な漁港が作られている。
30年もの年月をかけて造られた南大東漁港。完成には、もう30年も掛かる予定だそうだ。
因みに港湾は「国土交通省」所管で、漁港は「農林水産省」所管であるため、
この巨大な漁港にフェリーは停泊できないそうだ。正に縦割り行政の弊害。
フェリーも漁船も入港できるでっかい港を作ればいいのに・・・

尚、北大東島にも巨大な漁港「南大東漁港(北大東地区)」が工事中だ。
北大東島にあるのに南大東漁港・・・南大東の分港ということらしいがややこしい

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