三河湾に浮かぶアートの島 佐久島
佐久島とは、愛知県は三河湾に浮かぶ離島であり、
日間賀島・篠島と合わせて「三河湾三島」と呼ばれている。
佐久島は三島の内で最も大きい島であるが、その面積は2km²に満たず、
また、人口は三島の内で最も少ない。
近年は現代アートの島として知られている佐久島。
瀬戸内芸術祭を引き合いに出すと、島の人は「そんなに立派なものではない」と謙遜するが、
小さな島内には数多くのアート作品が設置されており、島を代表するアート「おひるねハウス」は、
瀬戸芸にも劣らないアート作品だと思う。
また、アートだけでなく美しい海岸の景観を誇る佐久島。
今回は、グッときた佐久島のアート作品と、そして島が誇る美しい自然を紹介しよう。

1.佐久島へのアクセス
佐久島に渡島する手段は、日に7便運航する高速船だけである。
本土からの距離は、日間賀島・篠島の発着港である知多半島の師崎港の方が近いが、
文化的に日間賀島・篠島は尾張、佐久島は三河に分かれるそうで、
佐久島行きの高速船は、知多半島の対岸、西尾市の一色港から出航している。
高速船の定員は多くはなく、ゴールデンウイーク等の観光シーズンには、
乗船待ちが長蛇の列になるので注意が必要だ。
カーフェリーは運行されておらず、車を持ち込むことは出来ないが、
バイクは高速船に載せて運ぶことができる。

ただし、バイクの航送は乗客の多い観光シーズンには断られることもある。
また、載せられたとしても、
積載したバイクは航送中に倒れないように自分で支えなければならないし、波しぶきを被る。
更には、無事に佐久島に到着しても、港は小さな浮き桟橋であり、
干潮時には、上陸スロープが急傾斜となり上陸できないこともある。
この場合は、潮が満ちて傾斜が緩やかになるまで待つしかない。

航送料は大型バイクでも840円と破格だが、バイクを運ぶには難関の多い島である。
2.黒くて四角い おひるねハウス
島には大小20を超えるインスタレーション アート作品が展示されているが、
最も有名で、そして最も人気がある作品は、
島の西部、大浦湾に面した石垣海岸に作られた「おひるねハウス」だろう。
心地良い潮風が吹き抜ける黒い匣のなかは、その名が示す通り昼寝にはうってつけ。
しかし残念ながら人気作品の宿命、観光客が引切り無しに訪れ、記念撮影待ち状態となるため
ノンビリとお昼寝するのは難しいだろう。

3.白くて長い イーストハウス
イーストハウスとは、大浦を挟んで「おひるねハウス」の対岸、
大島へと続く桟橋の真ん中に作られたアート作品である。
角型基調なのは、おひるねハウスと同じだが、
漆黒のおひるねハウスとは対象的に、こちらは白亜に塗られている。

東港のすぐ近くにあるため、
佐久島に上陸した観光客が最初に訪れ、そして帰りの船の待ち時間にノンビリと休むアート作品。
おひるねハウスと違って、記念撮影待ちとはならず長居できるので、楽器の練習にはうってつけだ。
匣越しに眺める朱に染まる空、夕陽は対岸に沈む。

4.アートが広がる小さな覗き箱
島の各地に設置された小さな覗き箱は、その覗き穴を通して、
佐久島の歴史や伝統、そして空想を現実と重ね合わせて眺めるアート作品だ。
作品に出没する金色の怪人は
佐久島に昔から住んでいて、子どもたちを見守っている(という設定の)大和屋観音。
「むかしむかし」は、クジラをさばいたと伝わる「鯨切」と呼ばれる海岸にクジラを蘇らせた作品。

「ノンとビリーだ」は佐久島で飼われている山羊が、どこまでも成長した姿を描いた作品。
現実のノンとビリーはフラワーロードの山羊小屋にいるので、覗き箱と併せて会いに行こう。

5.薄紫に染まる新谷海岸
観光がアート作品に集中しがちになる佐久島だが、離島の美しい自然を見逃しては勿体ない。
特に島の南西部の海岸は素晴らしい景観の宝庫である。
南西部を走る道は、未舗装の細い道なので、
自転車・バイクを降りて徒歩でぶらりと巡ろう。

新谷海岸は、島の南西端に位置する砂浜だ。
その砂にはムール貝のカケラが混じり、ほんのりと紫色を帯びている。

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