刻を越えて現代に残る...奇跡の現存天守(後編)
現代までその姿が残る貴重な現存天守。その数12天守。
因みに、必ずしも創建当時のままの状態という訳ではなく、
修復されているものや、遺材を組み直して再建されたものも含まれている。
そんな数少ない現存天守の半分にあたる6天守が、
偶然にも中国・四国地方に集中している。
後編は、中国・四国に立つ、残りの六つの現存天守を紹介する。
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1.宍道湖を望む松江城
島根は松江市、宍道湖の畔の亀田山に築かれた松江城は
山陰で唯一の現存天守である。
1611年に建てられた四重五階の天守は国宝に指定されている。
外装は黒塗の板張り。荘重な雰囲気を醸し出している。

天守から望む勇壮な嵩山(だけさん)と和久羅山。

2.臥牛山にそびえ立つ備中松山城
岡山は高梁市に築かれた備中松山城は、現存天守の中で唯一の山城である。
臥牛山「小松山」の山頂に残る天守は標高430mと、現存天守の中で最も高所にあり、
そして、その高さは11mと、現存天守の中で最も低い。
2重2階の天守は、
1600年に建てられ後に改築されたものと云われていて、
国の重要文化財に指定されている。
山頂に立つ天守はこぢんまりとしていて、意匠は質朴。
戦国の城といった風合いだ。

天守の出格子の窓から望む風景。山間の街、高梁を見下ろす。

3.瀬戸内海を望む丸亀城
讃岐国は丸亀市に立つ丸亀城は、高さ15mと現存天守の中では小規模であるが、
66mの石垣の頂きに築かれており、総高では日本一高い城である。
甲羅の上に仙境の1つ蓬萊山を背負った霊亀に準えて
「蓬莱城」とも呼ばれている。
白漆喰のシンプルな三重三階の天守。現存天守の中でも端荘である。

天守から望む景色。瀬戸内の島々を望む素晴らしい眺望だ。

4.日本最後の天守 松山城
伊予国は松山市に立つ松山城は、1852年に再建された日本最後の天守建築である。
連立式の三重三階の天守は国の重要文化財に指定、
三大連立式平山城の1つに数えられる名城である。
その昔、城の堀に金の亀が棲んでいたという逸話から「金亀城」とも呼ばれている。

勝山山頂にそびえ立つ天守閣から望む景色。伊予灘を遠望する。

5.藤堂高虎によって築かれた名城 宇和島城
愛媛は宇和島市に立つ宇和島城は、最も最南端、最西端に位置する現存天守である。
築城の名手「藤堂高虎」が、1601年に創建した城で、
天守は、その後、伊達家によって建て替えられたものだ。
白漆喰の外壁に千鳥破風、三重三階の典型的な天守。唐破風の大きな玄関が特徴的。

天守から望む風景。雨に霞む宇和島湾が幻想的。

6.望楼の名城 高知城
高知城は、高知の大高坂山に築かれた平山城で、
天守だけでなく、本丸の建造物が完全に残存する唯一の城である。
1747年に再建された天守は国の重要文化財に指定されている。
鷹が翼をひろげた姿に見立て鷹城とも呼ばれている。
四重六階の望楼型の天守は正に雅。

望楼の高欄から望む景色。
かつては水害の地であった鏡川のデルタ地帯は、今では高知の大都市に。

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