日本で一番の辺境、ここには何もない! トカラ列島 小宝島
愛車NC750Xに跨って、北は北海道、南は沖縄まで60を超える離島を巡り、
一番、辺鄙だった離島と言えば、やはり十島村の小宝島だろう。
※ただし、定期船が運航していない離島を除く
トカラ列島というだけで、すでに辺境の極地であるが、
その列島に属する7つの島の中で最もヤバイのが小宝島だ。
1990年まで、定期船「フェリーとしま」が接岸できず、
日本で最後まで艀(はしけ)作業が行われていた小さな小宝島。
やっと「フェリーとしま」が接岸するようになったのに、
波が高いと、すぐに抜港されてしまう悲しい小宝島。
今回は、そんな小宝島の掛け替えのない魅力について紹介しよう。

1.十島村とは?
小宝島が属する十島村(としまむら)とは、
三島村(みしまむら)の前身、十島村(じっとうそん)を起源にもつ自治体だ。
村名が示す10つの島というのは、
竹島、硫黄島、黒島、口之島、中之島、平島、諏訪之瀬島、悪石島、宝島、臥蛇島であり、
小宝島は含まれていない。
小宝島は宝島の属島扱いだったため、十島にはカウントされていないのだ。
敗戦によって北緯30度線が引かれ、口之島以南の7つ島はアメリカの占領下に置かれた。
竹島、硫黄島、黒島の3島だけとなってしまった十島村(じっとうそん)は
三島村(みしまむら)に改称した。
そして1952年、日本に行政権が返還されたトカラ列島は、
十島村(としまむら)と言う名前の自治体として新たに設置された。
これが、10島では無い「十島村(としまむら)」の名前の由来である。
なぜ、七島村にしなかったのだろう?
2.とてつもなく辺鄙な小宝島
小宝島は、トカラ列島の悪石島と宝島の間に浮かぶ十島村で一番小さい島である。
面積1km²、周囲4.7km未満、島一周道路2km、人口約50人。
徒歩でも30分あれば一周できてしまう小さな小宝島では、移動手段は基本徒歩だ。
空路は無く、渡島する手段は週2便運航する定期船「フェリーとしま」だけだ。
その定期船も波が高いと小宝港を抜港してしまう。
島内には「店」と呼称されるものは全く存在せず、
自販機が1台設置されているだけ、ほぼ貨幣経済が存在しない島である。
観光のピークシーズンである8月に4泊したが
観光客が自分1人しかいなかった。
島の景勝地を独り占めしたいならここである。

3.小さな島にそそり立つ赤い立神
立神とは、沖合いに切り立つ小島や、海岸にそそり立つ岩のことで
琉球や奄美では、海の彼方からやってくる来訪神が最初に立ち寄る去来地として
信仰の対象となっていた場所である。
小宝島南端にそびえる立神は、珍しい赤い砂岩の立岩である。
朝日を受けて赤く染まるその姿はとても荘厳で、島のシンボルとなっている。

4.大淵から望む島一番の眺望
大淵とは、小宝島南東端の岩礁に囲まれた潮溜まりのことであり、
美しい珊瑚が群生するシュノーケルポイントだ。
正面の切り立つ岩礁には、引き潮のときだけ現れるサンゴの橋を通って渡ることができる。

岩礁の頂きからの眺望は島一番の素晴らしさを誇る。
心地良い潮風を受けながら小宝島を一望、島の小ささを実感できるだろう。

5.トカラで一番低い最高峰 竹之山
小宝島の唯一の山「竹之山」は標高102m、トカラ列島で一番低い最高峰だ。
山頂まで20分ほどで登れてしまう。
リュウキュウ竹に囲まれた登山道に展望は全く無いが、
竹林のトンネルを抜けて登るその道は、不思議な雰囲気に包まれている。
尚、小宝島はハブが生息する最北端である。
竹之山もハブの注意ポイントだが、
島に生息するヒメハブの毒は弱く、噛まれても死ぬことはない。

山頂から望む東海岸と沖に浮かぶ小島。
小島の右側に突き出た岩礁は「中の門」と「沖の門」と呼ばれている。
眼下には小宝島の集落が広がる。今にも森に飲み込まれそうだ。

6.島で唯一の贅沢 湯泊温泉
東海岸にある天然の展望露天温泉である「湯泊温泉」は、
無料で24時間入りたい放題、島でできる唯一の贅沢だ。
硫黄・塩化物泉で神経痛、冷え性、火傷に効くそうだが。
湯温は火傷するほどに熱い。
緑のホースで海水を入れて湯加減を調整するのだが、
夏場・昼間は海水自体も温かいので、中々適温にならない。
適温の温泉につかるには夕方以降がいいだろう。

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