今も昔も変わらない奄美の名勝! 奄美十景
奄美十景とは、1982年に南海日日新聞(なんかいにちにちしんぶん)社が公募し選考した、
奄美を代表する素晴らしい10の景勝地である。
年々、様々な観光スポットが誕生する奄美において、
その雄大な風景、そして魅力は35年の月日が流れた現代でも色褪せることなく、
旅行者の心に感動をもたらしている。
奄美十景の島ごとの選定数は
喜界島が1、奄美大島が5、徳之島が2、沖永良部島が1、与論島が1となっていて、
やや奄美大島に偏っている。
残りの加計呂麻島・請島・与路島の3島は、
名勝として選定こそされてはいないが素晴らしい絶景スポットがあるので、
別の機会に紹介しようと思う。
今回は「奄美群島で必訪」と言っても過言ではない奄美の十景を紹介する。

Contents
- 聖なる台地 百之台(喜界島)
- 亜熱帯のおおらかさ あやまる岬(奄美大島)
- 幻想の海の彩り 長雲峠から見た龍郷湾(奄美大島)
- 東洋一のサンセット 大浜海浜公園(奄美大島)
- 霊峰からみる夕景 湯湾岳から見た焼内湾(奄美大島)
- 壮大な島影 油井岳から見た大島海峡(奄美大島)
- 荒々しさとやさしさと 犬田布岬(徳之島)
- 天地創造の夢 ムシロ瀬(徳之島)
- 日の出と日没の名所 田皆岬(沖永良部島)
- 熱帯魚も遊ぶ砂地 百合ヶ浜(与論島)
1.聖なる台地 百之台(喜界島)
奄美大島の北東に位置する喜界島、その島の中央に広がる
標高200mの広大な隆起珊瑚礁の台地が十景の1つ「百之台」だ。
百之台の南縁はどこも展望が開けていて、
太平洋とサトウキビ畑を眼下に望む素晴らしい光景をどこからでも楽しむことできるが、
やはり、台地の東側にある展望台からの眺望が一番素晴らしい。

蒼い海、グレー色の海岸、その内側に広がる整然とした薄緑色のサトウキビ畑、
そして、おもむろに隆起する深緑の台地。
聖なる台地と称されるだけあって荘厳な風景が眼前に広がる。

2.亜熱帯のおおらかさ あやまる岬(奄美大島)
奄美大島は奄美群島最大の島であり、その大きさは、
本土・北方四島を除くと沖縄本島、佐渡島に次ぎ第3位の島である。
「あやまる岬(アヤマル崎)」は奄美大島の笠利町、島の北東端に突き出た岬だ。
岬一帯のなだらかな地形が「アヤに織られた手まり」に似ていることが、その名の由来だそうだ。
「アヤに織られた手まり」→「アヤまり」→「あやまる」と変化したのだろう。
熱帯植物アダンに覆われた岬から美しいリーフと太平洋を見やる。
すると、南国の穏やかな風景が心に響く。

3.幻想の海の彩り 長雲峠から見た龍郷湾(奄美大島)
奄美大島の北西岸、笠利湾の奥、コウトリ崎に囲まれた海域が「龍郷湾」だ。
龍郷町から瀬戸内町まで南北に延びる山稜の一番北に位置する峠が長雲峠であり、
峠に整備された「奄美自然観察の森」という自然公園が、
龍郷湾を望む最高の展望スポットとなっている。
園内には幾つか展望台があるが、一番の展望はやはり「ドラゴントリデ」だろう。
標高280m、砦からの眺望は360°のパノラマ。
眼下に望む龍郷湾は、陽の光を受けてエメラルドに輝いて、とても幻想的だ。

4.東洋一のサンセット 大浜海浜公園(奄美大島)
奄美大島の北岸、名瀬の南西に位置する広大な砂浜が奄美の「大浜」だ。
奄美の中心部名瀬から車で20分とアクセスも良く、大浜に整備された海浜公園は、
ステージ広場、バースハウス、海洋展示館、キャンプ場、高倉などなど、
施設が充実しているので手軽に観光できるスポットだ。
県道78号から脇道に入り、峠道を越えると眼前に広がる青く澄んだ海。
リーフの美しさに目を奪われてしまう。

干潮時には海岸線をビーチロック延びる。
東シナ海に面し、東洋一のサンセットと謳われるビーチだが、
近年、砂が急激に減ってきているそうだ。
いつまで、この美しい海岸を楽しむことができるだろうか。

5.霊峰からみる夕景 湯湾岳から見た焼内湾(奄美大島)
奄美大島の南西部にそびえ立つ「湯湾岳」は標高694m、島の最高峰である。
女神の阿摩弥姑(アマミコ)と男神の志仁礼久(シニレク)が降臨し、
奄美大島を創造したとされる奄美開闢の聖地でもある。
名前からも分かる通り、
琉球創造の女神アマミキヨ(アマミチュー)、男神シネリキヨ(シルミチュー)の奄美版である。
湯湾岳から焼内湾を望むなら湯湾展望公園の展望台がおススメだ。
奥深い入り江は、とても穏やかであり、まるで湖のようで神秘的だ。

因みに、1時間ほどで登れる山頂は木々に覆われていて展望ゼロなので気をつけよう。
6.壮大な島影 油井岳から見た大島海峡(奄美大島)
奄美大島の南部、瀬戸内町に位置する「油井岳」の標高は482m、
大島海峡を見下ろす展望の山である。
開けた草地の園内はとても心地が良く、
大島海峡側の眺望だけではなく、反対側、阿木名の伊須湾の展望も楽しむことができる。
園内の小高い丘から望む、南北に延びる勇壮な加計呂麻島。
加計呂麻島に囲まれた大島海峡は、まるで巨大な湖のようだ。

7.荒々しさとやさしさと 犬田布岬(徳之島)
徳之島は奄美大島の南西、沖永良部島との間に浮かぶ島であり、
南西部に突き出た「犬田布(いぬたぶ)岬」は島の最西端にあたる。
草原に屹立するモニュメントは、戦艦大和と共に戦死した戦士を弔う慰霊塔だ。
慰霊塔の高さは24m、戦艦大和が眠る西方沖に向けて建てられ、
その形は「合掌する人間の手」を表している。
岬の外周は荒々しい琉球石灰岩で囲まれているが、
その手前に広がる青々とした草原はとても穏やかだ。

岬から北に向かって延びる断崖、澄み透る海、そして海と陸との境界を明瞭にする白い波。
奄美10景の中で最も壮大な風景が目の前に広がる。

8.天地創造の夢 ムシロ瀬(徳之島)
徳之島の北端、巨岩が連なる奇観の海岸が「ムシロ瀬」だ。
ムシロを敷き詰めたような海岸地形がその名の由来であり、
珊瑚礁起源の石灰岩の多い奄美群島には珍しく、白く美しい花崗岩が広がっている。
白い巨石と青く輝く海。そのコントラストが織りなす様相はとても雄大である。

9.日の出と日没の名所 田皆岬(沖永良部島)
沖永良部島は、徳之島の南西の海上に浮かぶ隆起サンゴ礁の島、
その北西端に広がる平らな石灰岩の台地が「田皆岬」だ。
田皆岬は矢護仁屋岬(ヤクニヤ岬)、ヤグニャバンタとも呼ばれ、
芝が生い茂る台地の先は高さ50mの断崖絶壁となっている。

断崖の先端から望む情景。
深く蒼く澄んだ海に沈む巨石群が勇壮で、どこか神秘的だ。

10.熱帯魚も遊ぶ砂地 百合ヶ浜(与論島)
沖永良部島と沖縄本島の間に浮かぶ小さな島「与論島」は、
最高所でも98mしかなく、奄美群島で最も平たい島である。
そして10景に選定された「百合ヶ浜」とは、
大潮の干潮時にだけ東岸のリーフ内に現れる砂浜の島である。
リーフ内に広がる百合のように白く美しい砂。
北は北海道、南は沖縄まで60を超える離島を巡り、数多くの砂浜を見てきたが、
この百合ヶ浜が日本で一番美しいと断言する。

数100mに渡って敷き詰められた白百合の砂。
澄んだ海には美しい波紋が浮かび、視界いっぱいに広がる光景は正に楽園だ。

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